本の紹介

【本の紹介】賢者の書(喜多川 泰)

「人生の視野を広げる」

人生に失敗はありません。何故ならあなたが今手にしている、人生のパズルのピースは、あなたの人生のどの部分に作用してくるのかは、後々わかる事だからです。

今は失敗だと感じたとしても、人生のパズルが完成する時には、そのピースさえも必要なもだったと、気づくことが出来ます。

この本は、読んでいる間に自分の人生を色々な角度から俯瞰することが出来ます。自分の不運をただ眺めているだけではありませんか?何かを与えてもらうのを待っているだけではありませんか?

「人は何度でも生まれ変われる」この本を読めば、あなたは昨日とは違うあなたになることができます。

うさぎ
うさぎ
ページ数少な目で読みやすいけど学べるよ!

この本は、こんな人に読んでもらいたいです

  • 毎日を充実させたい人
  • 今の生活に不安がある人
  • 自分に自信が無い人
  • 人生の目標が見つからない人
  • 色々な角度から自分を見つめ直したい人
  • 生まれ変わりたい人

 

本の要約

仕事で上司との折り合いが悪くなり、会社に居場所を無くしていた50代のアレックスと、「賢者の書」を完成させるために最後の賢者を探している14歳のサイードの物語です。

二人が出会ったのは、アレックスが思春期のころに過ごしていた田舎町の公園のベンチです。

アレックスはサイードが賢者の書を完成させようとしている事、この場所に最後の賢者が来るという事を聞いて、自分もこの場所に居て賢者に会いたいと申し出ます。「今後の人生をどう生きていったらいいのか」を、賢者という人が本当に居るのなら聞いてみたかったからです。

賢者が到着するのにまだ時間があるという事で、アレックスは「賢者の書」を読む了解を得て、読ませてもらう事になります。

ここから「賢者の書」の中のお話、サイードが八人の賢者から学んだことを、アレックスは本を介して学ぶことになります。

第一の賢者「アクト」

本書の全体を通して、人生とはパズルのような物と表現されています。出来上がったものは何が描かれているのかはわかるけど、組み立てている途中のピースをみただけではどんな絵が描かれているのかは分からず、そのピース自体もどこに当てはまるのかがわからないものです。

「行動をとる」という事はひとつのピースを受け取る事。人生はそれの連続で、1ピースだけでは何が描けるかは分からないけど、集めているうちに見えてくることもある。その時に人間が思い描く将来の完成図が『夢』である。

第二の賢者「ユニバス」

第二の賢者は、大いなる力について教えてくれます。大いなる力=人間の内側・可能性

大いなる力は、この宇宙全体を創り出した。そして、その大いなる力は人間の内側に自らと同じ力、つまり大いなる力を持つことを許した。要するに、人間は自らの内側に全てを創造する力があるという事。誰しも無限の可能性があり、それを信じるのではなく、気づくことが大切。

第三の賢者「リスペク」

第三の賢者は、自尊心について教えてくれています。

世界に一つしかない物ものは高い値が付けられる。同じ人間が一人もいないという事がどれほど素晴らしい価値があるものなのか。自らがいかに尊い存在なのかを自覚しなければいけない。

無価値観は必要ないが、同時に傲慢になってもいけない。自尊心と他尊心は常に同じ高さでなければいけない。

第四の賢者

第四の賢者は、目標とする人間像を追求することを教えてくれます。

大切なのは、職業や何になるか?ではなく、どんな人間になりたいのか?という事。素晴らしい人間性があれば、どんなことでも成功に導くことが出来る。

第五の賢者「ディル」

サイードがディルと出会ったとき、ディルから偉人の伝記を5冊渡されます。そして、今日という1日をどう過ごすのかがいかに大切か?という事を教えてくれます。

人間は皆、自分の伝記を毎日1ページずつ書いている。他の人が君の伝記を読んだ時「こいつは成功して当然だ」と、確信できるような1日にするのが大切。

第六の賢者「ティム」

第六の賢者は、投資につて教えてくれます。

唯一投資出来る財産は「時間」である。自分に時間を投資することが、お金の代わりにパズルのピースを得る事になる。

第七の賢者「サーチャフト」

第七の賢者は、何を探して生きるのか?について教えてくれます。

この世は、自分の幸せばかりを願いうものにとってはつらく楽しいことの少ない試練の場になるが、他人の幸せを願うものにとってはこれ以上にないほど楽しいことの多い場所になる。

第八の賢者「ワーズワース」

第八の賢者は、言葉が人に与える影響について教えてくれます。

人は常に頭の中で思考を張り巡らせていているので、自分の言葉に強く影響を受ける。

未来は自分が今使った言葉通りの現実として現れる。

最後の賢者

①【感謝】

人は皆、沢山の人に支えられながら生きていていて、一人で生きていくことはできない。その恵まれている環境に感謝することが大切。

②【与える】

人に感動を与えられる生き方が、本当の意味で感動的な生き方である。

③【誕生】

人との出会いや一冊の本との出会い。何がきっかけになるかは分からないが、人間は何度でも生まれ変わることが出来る。昨日までの自分とは関係なく、いつからでも新しい人生を始めることが出来るし、毎日をそういう気持ちで始めることが出来なければならない。

アレックスが学んだこと

アレックスは自分が苦手とする人たちから、何かを学ぼうとする謙虚な気持ちが無かったことに気づきます。今までの自分の不運は、自分の学ぶ姿勢にあったと痛感するのでした。

賢者か愚者かは、学ぼうとする側が相手から何を学べたのかによる。

感銘を受けた言葉

行動の結果手に入るのものは、失敗でも成功でもない。絵を完成させるために不可欠なピースのひとつであり、それ以上でも、それ以下でもないということ

行動なくして、失敗も成功もない。これはよく言われる言葉だ。ところが多くの者はこれを勘違いしておる。行動の結果として、いつかひとつの大きな絵が手に入ることがあると思っているのだ。行動の結果として手に入るものは、どんな場合であっても、小さなひとつのピースでしかないのだ。

自分を他人よりも価値のないものとして卑下してはいけない。自分を他人よりも優れているものとして、傲慢になってもいけない。自尊心を高めるということは、同じ高さまで自分以外のすべての人間に対する他尊心を高めるということを意味しているのだ。

自分の周囲は自然以外はすべて人間が創り出したもので埋め尽くされている。しかも、自分以外の人間が創り出したものだ。

アレックス、こういうことわざがある。人生は恵まれたカードが配られてゲームをするのが楽しいのではない。恵まれない手札を手にしていかにゲームに勝つか。これが人生の楽しみなのだ。

真に学ぶ姿勢がある者にとっては、世の中のあらゆる人が師となりうるのだ。教えた側が賢者なのではない。学んだ側が賢者だったのだ。

感想

ページ数も多くは無く、無駄な描写などもあまりないのでサクサク読める本でした。でも私は、すべての章で考えさせられることがあり、読んでいる最中に「私はどうなのかな~?」と自分の世界に入ってしまうので、読み終わるのに普通の人の倍かかったと思います(笑)

「教えた側が賢者なのではない。学んだ側が賢者なのだ」

この言葉が、私の中で一番刺さりました。世界中の人の生き様や考え方を、素直に吸収できる人が最高の賢者であるという事。人生のパズルのピースを手に入れるために、すべてを素直に受け入れ、そのピースが今後どんな絵を描こうとしているのか分からなかったとしても「行動すること」が大切で、この「行動すること」=「学ぶこと」でもあるのだと思いました。

第三の賢者の教えで「自尊心と他尊心は常に同じ高さでなければいけない」という言葉がありましたが、ここでつまずく人が殆どだと思います。

世の中には、自分を他人よりも価値が無いと感じている人、もしくは自分を他人よりも優れていると感じている人のどちらかに振り分けられていて、中庸に立つことが出来ている人はほんの一握りなのでは無いかと思います。

それだけ、「自分と他人は同じ」という事を、腹落ちして感じることが出来る人は少ないと思います。あの人の前では私は下だけど、この人の前では私は上だ。と、人によって自分の価値を上げ下げしている人が殆どだと思います。もちろん、私の中にもあります。

第四の患者は、「何になりたいのかが大切なのではなく、どんな人間になりたいのか?だ」と言っていました。

私は、常にどんなパズルのピースも受け入れ、自尊心と他尊心を同じ高さに保つことが出来るような人間になりたいと思いました。

「さとりをひらいた犬」も物語形式の啓発本でしたが、それとはまた違う内容で違う角度から自分を見つめ直すことが出来ました。人生に対しての視野が広がると思います。この素晴らしい本を是非沢山の人に読んでいただきたいです。

著者の紹介 喜多川 泰


1970年東京生まれ。愛媛県に育つ。東京学芸大学卒。2005年から作家として活動を開始。

「喜多川ワールド」と呼ばれるその独特の世界観は、小学生から80代まで幅広い年齢層から愛され、その影響力は国内に止まらず、現在は多数の作品が台湾・韓国・中国・ベトナムでも翻訳出版されている。

執筆活動だけではなく全国各地での講演やセミナーも開催。出会った人の人生を変える講師として人気を博している

著書に『君と会えたから……』『手紙屋――僕の就職活動を変えた十通の手紙』
『手紙屋 蛍雪篇 私の受験勉強を変えた十通の手紙』『上京物語』『「福」に憑かれた男』などがある。

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